第88章 あなたはお嬢様

福田佳乃は資料を握る手を小刻みに震わせていた。すでに大半は信じかけている。それでも、意地みたいに食い下がる。

「どうしてあんたたちを信じなきゃいけないの! これが罠じゃないって、誰が証明できるのよ! 商売人なんて腹の底まで汚いんだから!」

「信じないのは自由です。ですが——本当に、この件であなたのお父さまをああした連中を、いまも野放しにしておくつもりですか。福田さん。優秀な記者なら、何をすべきか……あなたのほうがよく分かっているはずです」

ドアの向こう、室内の男はまだ取り乱している。

ガラス越しに見えたのは、背を丸め、深い皺だらけの顔に白髪が目立つ男だった。手の届くものは何でも叩き落...

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